本ではなくネットに頼るのはよくないよくないと思いつつ……

アクションスリップについて調べていたら、図らずして、人間の脳の中で書字全般がどうやって起こるのかを知ってしまった。
キー入力も同じだろう。複数の配列が平行して使えるのも、「接続経路が異なる」(専用の上位スキーマがある?)からなんだろう。


http://questionbox.jp.msn.com/qa3532512.html

こんにちは。
「に」が「こ」になってしまうというのは「スリップ現象」ではなく、この場合は集中力が落ちたために作業の簡略化(手抜き)が発生したという可能性があります。ですが、「急速反復書字法」の実験を行ないますと、本人が全く意識しないにも拘らず「お」や「す」などといった、まるで別な文字が出てきてしまうといったことがたいへん高い比率で起こるのだそうです。これが「スリップ現象」ですね。

まず、我々が意識をせずに文字を書くことができるのは、これは「小脳」や「大脳基底核」に「熟練運動記憶」というものが学習されているからです。これにより、大脳皮質一次運動野からの運動命令は過去の学習結果に基づいて自動的に補正されます。ですから、実際の手や指の筋肉といいますのはこの「補正情報」によって動きますので、我々は特に意識しなくとも漢字やひらがなをきちんと書くことができます。
さて、なぜ間違いが発生するのかといいますならば、それはやはり作業を継続するための脳の様々な機能が追い付かなくなるからですよね。「に」という記号を文字として書くためには感覚言語野の認知機能が必要ですし、同じ作業を間違えないように振り返すためには大脳皮質がある程度注意を促さなければなりません。ですが、それが無意識でも簡単にできるために返って統率が執れなくなってしまうというのが単純作業の落とし穴ですよね。

では、どうして「ひらがな」だけの書き違いが起きて他の「漢字」や「アルファベット」といったものが出てこないのでしょうか。これは恐らく、筆記運動を司っているのが「運動言語野」であるからです。
「運動言語野」といいますのは我々が言葉を喋ったり文字を書いたりという「言語運動の機能」でありますが、英語やアルファベットといいますのはほとんどの日本人で別のカテゴリーに分類されており、ここでは「ひらがな」と「漢字」でも接続経路が異なると考えられています。ですから、注意力や正確さといいますのは必ずやしだいに低下するものなのですが、その筆記運動が運動言語野の支配下にあり、小脳の運動補正が働いているならば、発生するのは「ひらがなの書き違いだけ」ということになるのだと思います。


http://www.rikkyo.ne.jp/web/haga/files/JPA2003.doc

ある指定された文字を書字すると、その文字を書くための書字スキーマと部分的に共通する別な文字の書字スキーマにも活性化が及ぶ。この別の文字の方が、使用頻度が高い場合、あるいは最近使用されたばかりのものである場合、その文字の書字スキーマがトリガーされやすいために書字スリップが起こると考えられる。